Photo 特定非営利活動法人 国際教育推進プロジェクト BeCOM
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 企画書を書き上げてランチに出たのは、1時をとっくに過ぎた頃だった。オフィスのビルを出ると、外の空気は秋を通り越して冬の匂いがする。
「さて、今日は何を食べようかな‥」
肌寒さに首をすくめながら、私は歩き出した。今年の夏は長かった・・。若手社員で作る営業企画。初めはみんなの考えがバラバラで苦労したけど、秋風が吹きはじめた頃スーッと意見がまとまりだした。企画書もできたし、ひと段落したら、どこか短い旅行にでも行こうかな・・。
 そんなことを考えながら歩いていると、ふと歩道の植え込みに鳩がいることに気が付いた。この辺りは街路樹も多いし鳩は珍しくないけど、その鳩は普通とはちょっと違う気がして、目が離せなくなった。
 そのまま歩道に面しているお店に入り、ランチを注文してテラス席に陣取った。もちろん鳩を観察するためだ。
 よく見るとその鳩は体形がスリムで、顔だちもイケメン。でもなぜかほとんど動かない。どこかケガでもしてるのかな・・。思い切って席を立って近づいてみると、鳩は逃げる様子もなく首をかしげて私の顔をじっと見ている。そして私も、その鳩がナンバー付きの脚環をはめていることに、ようやく気がついた。
 そのあとの私は自分でも不思議なくらい、初めてのことをどんどん行動に移した。急いでランチをすませると、持っていた大きめのハンカチで鳩をそっとくるんでトートバックに入れた。スマホで「伝書鳩」と検索すると、すぐに迷い鳩についての連絡先がわかった。画面に表示ざれた伝書鳩協会に電話すると、専門の宅配業者が引き取りに行くとのこと。その間も、鳩は足元に置いたバックの中から、時々私を見上げている。
「待っててね、すぐに飼い主さんにあわせてあげるから。」
私も自然と鳩に話しかけていた。

 オフィスに戻ると、営業課はこの小さなお客様のことでワイワイ大騒ぎになった。こんな風にみんなで騒ぐ感じも久しぶり。
 協会の対応も早かった。夕方前には宅配の人が来て、鳩を手際よく箱に入れると、「ご協力ありがとうございました」と言いながら足早に出て行った。

 それから2日後。協会から私に電話があった。鳩が届いたこと、保護をした私への感謝の言葉、そして残念ながら届いた時には、鳩は箱の中で死んでいたこと・・。
 聞きながら私は、何かが込み上げてきて、涙があふれるのを感じた。
「その鳩、どこへ飛んでいくはずだったんですか」
泣いていることに、なるべく気づかれないように私が聞いた。
「伝書鳩のレースで、千葉県の銚子市に向かう途中だったんですよ」
協会の人が、やさしく答えてくれた。銚子市・・。聞いたことはあるけど、千葉のどの辺にあるのか、どんな所なのか、全然知らない土地。なのに私はまた、不思議と初めてのことをしようとしていた。
「私も、その銚子市へ行ってみたいです・・」
協会の人の「そうですか、いい所ですよ」という声が、やわらかく耳に入ってきた。

(作:いずみちえこ)

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